生きるためのMANGA

MANGAに関わって50年になります。

子供のころから生きづらさを感じていた私を救ってくれたのは当時の「少女漫画」でした。作家が思いを託した主人公の言葉たちにどれほど助けられたかしれません。MANGAは私にとって「娯楽」ではありませんでした。生きるために必要な羅針盤だったのです。プロになり、作品を制作発表するようになってからも、一作一作描くごとにMANGAは私の人生を形作るヒントとなってくれました。
漫画でもマンガでもなくMANGAなのは、そういうMANGAの持つチカラを意識しての表記です。

私達にはそれぞれに必要な物語があります。運命の人に出会って幸せになる物語、じり貧でも逆転満塁ホームランを打って勝つ物語、宝を探して冒険に次ぐ冒険の末仲間という本当の宝を得る物語、探していた幸せは目の前にあることに気づく物語、ゴールすることだけに意味があるのではなくそこまでの過程こそに意味があるのだという物語。あなたの琴線に触れた作品はあなたの人生に必要なものでした。物語の持っている力で私たちは癒され生きてくることができたのです。でも、いつの日にかその物語たちを卒業する日がきます。
私達自身の物語を私たちの言葉で語る時がくるのです。

このMANGA LESSONは、作画の技術をお教えする教室ではありません。そうではなくて、MANGAという道具を使うことで、あなた自身の中に眠っていた「人生の真の意味」を見つけるための時間としていただきたいと思っています。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
MANGA作家／タカノユウ